2023年4月5日に、日本湿地学会が監修した『シリーズ〈水辺に暮らすSDGs〉:1巻「水辺を知る」・2巻「水辺を活かす」・3巻「水辺を守る」』が朝倉書店より発刊されました。多くの皆様のお力添えに心より感謝申し上げます。2017年に日本湿地学会監修で発刊した『図説 日本の湿地』に続く第二弾となります。
本シリーズでは、湿地を多くの人に身近に受け止めてもらうため、敢えて“水辺”をタイトルに掲げ、今日の地球的課題として世界的な取り組みが進められている持続可能な開発目標(SDGs)との関わりをテーマとし、“水辺”を通して持続可能な社会への道のり考えることを狙いとしています。SDGsは脱炭素に向けたパリ協定と並んで世界経済や社会に歴史的転換をもたらすとされ、ラムサール条約に代表される湿地の保全・活用とも深く結びつくものです。
湿地を考える視点は実に多彩です。身近な暮らしから地域社会とまちづくり、そして国際的な取り組みまでつながり、食料、産業、防災、健康、教育、生態系、暮らしの豊かさなどを含む、社会・経済・文化など多岐にわたります。むしろそれらを環境の視点からつなぐ役割を、湿地は果たしていると言ってもいいほどです。これらを全てカバーして1冊にまとめることは容易ではなく、今回は3巻のシリーズとして多くの分野をトピック的にまとめました。
シリーズは<総論と社会>、<暮らしと経済>、<自然環境>の各側面から「水辺を知る―湿地と地球・地域」「水辺を活かす―人のための湿地の活用」「水辺を守る―湿地の保全管理と再生」の3巻で構成しています。
各巻は基礎となる解説と実践的な方法・事例で組み立てられ、それらを通してSDGsとの関わりを理解し、持続可能な社会や地球環境を思い描いてもらう構成となっています。したがって専門家のみならず、高校生や大学生から企業・自治体・地域で水辺に関心をもつ方々まで幅広く手に取ってもらい、水辺の入門書・必読書として、また教育・研修・実践に役立てる実用書として活用されることを願っています。
さらに本書をより見やすくご覧いただくため、図表や写真をデジタル付録として用意しました。下記ホームページまたは本書目次にあるQRコードからアクセスして下さい。
“湿地とは?”“湿地と人との関わりとは?”といったより基礎的なところからという方は、『図説 日本の湿地』を併せて読んでいただくことをお薦めします。
本書が人類共通の未来であるSDGsの一翼を担い、私たちを含むすべての生命に欠かせない水辺の視点から持続可能な社会に貢献することを願っています。
なお各巻の執筆者と目次については、以下の表紙をクリックしてください(朝倉書店webページが開きます)。