ご挨拶
このたび日本湿地学会会長に就任した矢部和夫です.よろしくお願いします.最初に本学会の目的をごらんください.
日本湿地学会 会則第3条 (目的)
本会は、湿地の自然・人文・社会科学的な調査研究、ならびに保全、ワイズユース(賢明な利用)、CEPA(Communication, Education, Participation and Awareness: コミュニケーション、教育、参加、普及)の推進をはかり、日本における湿地研究の発展に努めることを目的とする。
この会則第3条にあるように,湿地学会は湿地の調査研究のほか,その保全,ワイズユースとCEPAを目的としています.2021年の5月3日から5日までリモートでIPC国際泥炭学会がありました.泥炭研究の新しい技術,調整サービス,供給サービス,経済サービス,文化・社会サービスのセッションが毎日あり,その中で私の関連分野の湿地生態系の保護と再生は全体の1/4の程度の件数でした.日本湿地学会の大会発表や湿地研究の状況はIPCの流れと同様のものがあります.そしてこれらの目的のためにも人文社会科学と自然科学を協同の足場として,研究機関,個人,企業,団体,そして行政が参加し議論する学会です.
この場で,ひとつ確認しておきたいことは,「我々は湿地とどう関わればいいか」という目標の前に「湿地とはどういうものか」という問いかけがあるということです.第3条にあるように本会は,湿地で起こる諸現象の解明という基礎学を充実させることも包括されています.
人文社会科学と自然科学が協同するといっても,お互いに作法が違うので,なかなかの難題です.どちらも科学であるという共通の足場から,柔軟に議論し取り組んでいかなければなりません.私は湿地とはどういうものか知りたいという基礎研究と,湿地を保全することに,強い気持ちをもって実践してきました.みなさんと一緒に湿地学会の方向性を考え課題に取り組んでいきます.
最後ですが,日本湿地学会は常に新しい方向性を模索していかなければ停滞してしまいます.本学会はこうあるべきだとか,こうするべきだとかいう固定観念にとらわれていては,学会を維持することができません.特に若い人の発想を積極的に取り入れて,会員のみなさんが主体的に関わる部会や委員会などを充実していきたいと思います.そして,次の人たちが活動しやすいように,この学会を次につなげていきたいと思います.
それでは皆さん,これから3年間,ご支援とご協力をよろしくお願いします.
第三代会長 矢部和夫